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【その他】知的財産権・知的財産~知財・チザイ~<「発明」が「特許」となるための代表的な4つの要件>

「発明」が「特許」となるための代表的な4つの要件

1 産業上の利用可能性がある発明であること

特許法の目的は、新開発や新発見の促進ではなく、あくまでも産業の発達にあることから、産業上の利用可能性が無い発明は特許を受けることが出来ません。

例えば、「ある病気に関しての新しい手術方法の発明」を行ったとします。

しかし、特定の医療行為を特定の者が独占したり営利目的に利用するということは人道上許されないと考えられていることから、新しい手術方法を発明した場合であっても産業上の利用可能性が無いものとして特許を受けることが出来ないとされています。

また、例えば、学術的・実験的にのみ利用される発明については、産業上の利用可能性が無いことから特許を受けることが出来ないとされています。
ただし、医療に関するものであっても、例えば、新しい医療機器や薬といったものは純然たる医療行為ではなく「商品」や「物」ですので、これらには産業上の利用可能性があり特許の対象となります。

2 発明に新規性があること

新規性とは、発明が客観的に新しいものであることを指す用語です。特許出願時を基準時として新規性の有無は判断されます。なお、以下の場合該当すると新規性は認められません。

公然知られた発明

発明の内容が秘密保持義務のない不特定の者に知られ技術的に理解された場合を言います。例えば、会合や酒席などで、新発明・新技術を同業他社の社長にうっかり話してしまった場合、この新発明・新技術は「公然知られた発明」となり、新規性が認められず特許を取得することが出来なくなってしまいますので注意が必要です。

公然実施された発明

不特定多数の者が知り得る状態で実施された場合を言います。例えば、工場の見学会において、新発明・新技術の部分を隠すことなく見学者を招き入れ見学会を行った場合、この新発明・新技術は不特定多数の者が容易に知ることが出来たとして新規性が認められず、特許を取得出来なくなってしまいます。従って、これも注意が必要です。

刊行物やインターネットにより公表された発明

新発明や新技術が、新聞、書籍、DVD等の媒体によって公表された場合や、インターネットによって公開された場合には(現実に誰かが読んだとい事実までは必要ありません)、この新発明・新技術の新規性が失われることから、特許を取得することが出来なくなってしまいます。もちろんこの点に関しても注意が必要です。

3 発明に進歩性があること

歩性とは、その技術分野において通常の知識を有する者が、これまでの技術により容易に発明することが出来ないことを言います。

例えば、出願予定の発明が、既存の製品に関して単に材料を変えた場合、あるいは、単なる既存技術の寄せ集めに過ぎない場合には、これまでの技術により容易に発明し得るものとして進歩性が否定される可能性があります。

4 先願であること

特許権は、排他的かつ独占的な権利を付与するものですので、同一の発明について複数の特許権者を認めるべきではありません。従って、同じ権利内容・権利範囲の特許出願の場合は、先に出願した者(出願日付が早い者)に特許権が付与されます。

とすると、同一内容・同一範囲の出願が同日に行われた場合には、時間的に早い方の出願が優先されそうなのですが、実はそうではありません。特許法上、この場合には、まず当事者間で協議を行うこととされており、この協議で決定された出願者に特許権が付与されるのです。

仮に、当事者間で協議が整わなかった場合には、いずれの出願者も特許権を取得することは出来ないとされています。

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