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【人事・組織】外国人雇用の注意点③<外国人を雇用する際のチェックポイント>

前回は、ベトナム人留学生のAさんの就職活動をめぐる不幸なエピソードをご紹介させて頂きました。

X社としては、せっかく有能な人材を採用できたのに 他方、Aさんとしても夢であった日本での社会人生活が始まったところだったのに、お互いにちょっとしたポイントを外してしまったが故にあの様な結末となってしまいました。

それでは、X社やAさんは一体どうすればよかったのでしょうか?

Aさんの視点から

Aさんは日本の大学で勉強するために「留学」という在留資格で入国していました。

一般的に留学生を受け入れている大学では、留学生に対するサポート体制が整っており、留学生が日本で生活するに当たって知っておくべきルールや手続きに関する情報提供等が行われています。

そして、そのサポートの一環として、在留資格制度に関する説明も行われていることも多いようです。Aさんが卒業した大学でもそうでした。

また、来日して日本の大学で学び、更に日本企業へ就職を考えるような方ですと、在留資格制度に関して無知・無関心という訳にはいきません。

これらのことからすると、外国人留学生の方が日本人よりも在留資格制度を意識する機会が圧倒的に多く、この制度についての理解も一般の日本人より有しているのではないかと思われます。

従って、外国人の方が就職をする際には、雇用主さんの方へ自分の在留資格の種類(就労の可否)や採用後勤務開始までに在留資格の変更をする必要があればその旨をお伝え頂く必要があると思います

ただ、Aさんに関しては、失念していたのかそれとも余り理解ができていなかったのか、X社の社長に何ら告げることなく勤務を開始してしまいました。厳しいかもしれませんが、外国人が日本の会社に就職するという自覚が足らなかったと言わざるを得ません。

X社の視点から

外国人を雇用しようとする場合、面接を受けに来られるほとんどの外国人の方は「在留カード」というカードを持っていますので、ご自身の身(会社)を守るという観点からも、それを提示して頂いて以下の事項を確認する必要があります。

在留カードサンプル(入国管理局ホームページより)

① 在留資格と就労の可否
その資格で就労ができるものと、就労ができないものがあるので注意を要します。
在留カード表面の在留資格の欄には、「就労制限の有無」という項目があります。
そこには、「就労不可」「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」の場合)といった文言が記載されており、一目で在留カード所持人の就労の可否が分かるようになっています。
⑴ 就労可能に制限がない在留資格
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
⑵ 在留資格で認められた範囲で就労な在留資格
人文知識・国際業務、技能、技術、教育、企業内転勤、特定活動 など計19種類
⑶ 就労が不可能な在留資格
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

② 在留期限
在留期限がいつまでかを確認します。
期限が迫っている場合、更新の予定に関して確認をする必要があります。
期限切れは論外です。

③ 資格外活動許可の有無
主に留学生が問題となります。既述のとおり、在留資格が「留学」の場合、原則として就労することは認められていません。
ただ、学費や生活費等の事情から、「資格外活動許可」を受けた留学生には週28時間の範囲(長期休暇の際には週40時間まで)で一定のアルバイトが認められています。

ところで、X社がAさんを雇用した事実について、X社は不法就労助長罪に問われたのでしょうか。

結論から申し上げますと、X社が刑事罰を受けることはありませんでした。

なぜそうなったのか、結局のところ理由は分かりません。ただ、X社は、Aさんが出国するまで、嘆願書等の提出をはじめとし、Aさんの処遇に関して入管当局と色々な折衝を行ってきました。もしかすると入管当局は、折衝を通じてX社・Aさん共に悪質性が無いと判断されたのではないかと私は思っています。

Aさんがベトナムへ帰国してから1年位経過した頃でしょうか、Aさんから私に「実は今観光で日本に来ています。現在はハノイで日本と関わる仕事をしています。」といった内容のメールが来ました。

ベトナムに帰国する際に見せた辛く寂しそうな表情が印象に残っていたので、私はそのメールを貰って何だか少し安心したのを覚えています。

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