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【人事・組織】パワハラにならない効果的な叱り方

叱る目的

まずは、「叱る目的」について考えてみましょう。
「叱る」目的は、「相手が、冷静に今の自分を『自覚』し、方向性を間違わず、『主体的』に行動を改善すること」(NPO法人マザーズサポーター協会)と定義したいと思います。
つまり、「相手のことを思う」ってことが根底ないと、効果的に「叱る」ことはできないということです。

突然ですが、みなさんは、「叱る」の反対語は何だと思いますが?「褒める」でしょうか?

答えを言う前に、「叱る」と「怒る」の違いを確認したいと思います。辞書ではあまり厳密に区別されていないようではあるのですが、「怒る」は自分の感情を表に出すこと。
つまり、自分が腹をたてたことを相手にぶつける動作です。一方、「叱る」は相手が自分を含めて誰かに悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合、相手をより良い方向に導こうと注意やアドバイスをする動作です。

ここまで説明すると、「叱る」の反対は「褒める」でないことがわかりますよね。諸説がありますが、ここでは「相手を思う」が根底ににあって「叱る」訳ですので、反対語は「無関心」とします。「相手に無関心」であれば「叱る」こともない訳ですね。

ところが、相手には関心があって「叱る」場合でも、私たちがついついやりがちなのは、相手の気持ちを配慮せず、ただ「過ちを正したい」、「反省させたい」と自分の感情が先に立って「怒る」ことです。そこには、本来の「叱る目的」である「相手の自覚」とか、「主体的な行動改善」という視点が欠けているということです。

根っこにあるのは信頼関係

「叱る目的」が「相手のことを思う」ことが必要とお伝えしましたが、社長がいくら社員に関心を示し思っていても、社員が社長に対して快く思っていないと、叱っても逆効果となります。一般によく言われるように、パワハラとならないためにはお互いの信頼関係が大切だということです。

では、どうすれば信頼関係を構築することができるのでしょうか?
みなさんは、社員との間で「意識のギャップ」みたいなものを感じたことはありませんか?

例えば、会議で話しても社員に伝わった実感がないとか、指示を出しても「ぬかに釘」で反応が薄いとか・・・。「思うように社員が動いてくれないんだよなぁ」ってことはありませんか?

これを解決しないと、つまり相手との間でコミュニケーションが取れていないと信頼関係の構築ができないというのは想像できますよね。
実は、そもそもコミュニケーションを考えるうえで、我々が忘れがちな重要なことがあるのです。それは、コミュニケーションには土台となる摂理なるものが2つあるということです。まずは、これを頭に叩き込み、無意識のレベルで実感できるようにしましょう。

①人は同じものを見ていても、見たいようにしか見ないし、聞きたいようにしか聞かない

  • 社長がいくら熱く語っても、社員は自分の過去の経験や置かれた
  • 環境等によって、同じ話を聞いても捉え方が違ってきます。
  • 例えば、重要な会議があるので明日までに(優先して)資料を作
  • 成しておいてくれと指示しても、社員は時間までに間に合えば良
  • いかと受け取ってしまうなど、コミュニケーションというのは、
  • 結果的に伝わったことがすべてなんですね。

②過去と他人は変えられない、変えることができるのは自分と未来だけ

良く聞く話だと思いますが、他人の考えや行動を変えようとしても、それはその人の意思でしか変えることはできないということです。
例えば、いくら社長が自分の思いを伝えても、社員が社長の言うとおりにするかしないかは社員がその気にならないと、どうにもならないということです。その気にならない社員を無理やり言うことを聞かせようとしても効果的ではないということです。

コントロールできるもの  コントロールできないもの
未 来 過 去(事実)
自分の感情・生理反応
他人の感情・生理反応
自分の行為・行動・思考  他人の行為・行動・思考

この2つの摂理は、当たり前のように思われがちですが、無意識のレベルで定着していないと、知らず知らずのうちに意識のギャップが大きくなり、信頼関係が揺らいでしまいます。

効果的な叱り方のポイント

パワハラにならないように叱るには、信頼関係ができていれば大概は問題にはならないものですが、より効果的に叱るポイントについて説明します。

①人の前で叱ったり、忘れた頃に叱ったりしないなど、叱る場所、タイミングに配慮する。
②前述のような「叱る」と「怒る」を区別する。
③◯◯君は出来るのに・・・などと、他人と比較をしない(比較と競争は違う)。
④事実を確認しなりで噂だけで叱るなど、思い込みから叱らない。
⑤人権を踏みにじることなく、起こした事実のみに焦点を絞る。つまり「人」と「こと」を区別して伝える。
⑥相手の真意を汲み取ろうとし、その気持ちを大切にして物事を伝える。
⑦組織の社会的意義や使命・理念を考えたうえで、筋の通った理由を伝える
⑧毅然として、「だめなものはだめ」と相手に向き合って伝える覚悟を持つ
⑨日頃から、相手の日常をよく観察して相手の長所や貢献しているところを伝えてから叱る
⑩必ず最後は、今後のことに目を向けた、未来につなげるかかわりで終わる
⑪自分に悪いところがあれば、きっちり謝るなど、自己開示する勇気を持つ

まとめ

パワハラにならずに効果的に叱るには、信頼関係の構築が重要ですが、そのためにはコミュニケーションの2つの摂理を認識したうえで、「叱る目的」を理解し、効果的に叱るポイントを踏まえて「叱る」ことが重要だということです。
(参考)NPO法人マザーズサポーター協会(http://m-supporter.com/

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