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【財務・資金繰り】もう悩まない!資金繰り表の作り方

「金融機関に資金繰り表の提出を求められた。」
「お金の流れをしっかりとつかむため、自社で資金繰り表を作るように税理士や経営指導員、コンサルタントに指導を受けた。」

そんな、「資金繰り表を作りたい、けど、どうやって作ればいいかわからない。難しそう。」とお悩みを抱える経営者の方に、今回は誰でも簡単にできる資金繰り表の作り方のお話をします。

資金繰り表に絶対正しいフォームは無い

  • 事業の収支をまとめた表である損益計算書。
  • 資産や負債、純資産を表す貸借対照表。
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書

これらは財務諸表と呼ばれ、決まったルールで表を作成する必要があります。
しかしながら、資金繰り表には決まったフォームがありません。
極端な事を言えば、実際の現預金の残高と資金繰り表の現預金残高が合っていればOK。

資金繰り表は自身のために使うモノなので、自身がわかればそれで構いません。「会計が苦手、数字が苦手。」
こんな経営者の方に多くお会いします。

苦手意識を持つ一つに、「ルールに沿って、抜け漏れなく、数字は完璧なものでなければならない」と言った考えがあるのでしょう。
資金繰り表は、複式簿記を使って作成する財務諸表とは違い、お金の入出金を整理するだけなので、単純です。
足し算と引き算ができれば、どなたでも簡単に作成できます。

資金繰り表で基本となる3つの区分

自分がわかればそれで大丈夫だけど、一般的な分類の仕方に合わせておく方が、銀行への提出資料に使えます。
また、経営者がお金の流れをしっかりとつかんでいるアピールにもなります。
金融機関の担当者も自社のことを理解しやすくなるので、これまでとは違った見方をしてくれるかもしれません。

資金繰り表は大きく分けて、3つの区分に別けられます。

  • 事業の収支をまとめた「営業収支」。
  • 機械を購入した時、有価証券を売却した時などを表す「投資収支」。
  • お金を借りた時、返済した時などを表す「財務収支」。

その3つの区分ごとに、お金が入金されたことを表す収入、お金が支払われたことを表す支出に分けられます。

資金繰り表はだいたい1か月ごとに作成することが多いです。
資金繰りが苦しい場合は日繰り表を作成する必要がありますが、作り方は同じです。

※資金繰り表の図を挿入

「営業収支」を7つに分解する

  • 売った金額が入金されたら営業収入の欄に記入
  • それ以外のお金が入金されたらその他収入の欄に記入
  • 仕入れの代金を支払ったら仕入支出の欄に記入
  • 給与など人件費に係るお金を支払ったら人件費の欄に記入
  • 経費などでお金を支払ったら経費支出の欄に記入
  • 税金を支払ったら税金支出の欄に記入
  • それ以外の支払いがあれば、その他支出の欄に記入

基本的に、損益に関係する部分は「営業収支」の区分に入れると覚えておけばOK。
ここでは7つに分解しましたが、面倒であれば、入金で一つ、仕入関係で一つ、給与・経費・税金・その他を一つにまとめて、3つの分解でも構いません。

「投資収支」は2つで十分

  • 固定資産などを売却した金額が入金されれば収入の欄に記入
  • 固定資産などの購入代金を支払ったら支出の欄に記入

設備投資をしない企業の場合、あまり使われる区分ではないと思いますが、貸借対照表の固定資産の部に記載するようなもの、損益計算書に関係の無いもの(有価証券や貸付金など)は投資収支に入れればOKです。

「財務収支」も2つでOK

  • 金融機関などからお金を借りたら調達の欄に記入
  • 金融機関などにお金を返したら返済の欄に記入

中小企業の場合、貸借対照表の負債の部に記載される“借入金”になるものは財務収支に入れればOKです。

銀行通帳の入金と出金を項目ごとに集計して転記だけでOK

資金繰り表を最も手軽に作るには、銀行の通帳だけでOKです。
銀行通帳の入金と出金を項目ごとに集計して転記するだけで、資金繰り表になります。

そして、各月の現預金残高と通帳の残高が合致すれば、資金繰り表の完成です。
(単位は円単位でなくても、千円や万円単位でも構いません)。

ちなみに、集計が面倒で、毎月試算表を作成しているようであれば、試算表からキャッシュフロー計算書を作成する要領で資金繰り表も作成できますが、貸借対照表を読み取る力が必要になってきますので、ちょっとややこしいです。

資金繰り表はエクセルで作る?ノートに書いて作る?

資金繰り表はエクセルで作るのが一般的ですが、紙やノートでも構いません。
エクセルで作ると下記のメリットがあります。

  • 数値を変更するだけで自動計算してくれますのでシミュレーションがやりやすい、
  • 項目の追加が容易、
  • フォーマットを保存しておくと次回からの作成が簡単

一方でデメリットは、エクセルがどうしても苦手な人にとっては作成に時間がかかることです。
直接紙のノートで作成すると、計算の手間があったり修正が大変だったりしますが、手軽にできますし直感で理解しやすくなります。
できればエクセルで作成することをお勧めしますが、ハードルが高いようでしたら、まずは紙に書き出すことからはじめましょう。

資金繰りの未来予測が一番大事

銀行の通帳からの転記は、過去の集計になります。
しかし、資金繰り表を作成するうえで一番大事なことは、未来予測を行うことです。
過去の資金繰り表を作成することで、入金のタイミング支払いのタイミングがつかめたと思います。また、その内訳も整理されました。

これら過去の傾向などを考慮して、少なくとも現時点より半年後までの現預金残高の推移予測を立て、流れを見えるようにします。
推移予測を見て、「残高がマイナスになっている月は無いか?」「必要な売上高はどれくらいか?」が判明しますので、前もって借入による資金調達の準備をしたり、売上を上げる策を講じたりと、必要な対策が見えてきます。

社長の顔から不安な様子が消えた

資金繰りに毎月悩まされている社長に変わり、資金繰り表を作成した時のお話です。
その社長は「今月は○○円の入金しかなく、✕✕円も支払いがある。来月には大型案件の入金があるのだが、どうやって今月を乗り切れば良いのか・・・」と暗い顔をして悩まれていました。

そこで社長の話を聞くだけだとこちらもよくわからないので、一つ一つ状況を聞きながら目の前で一覧表に書き出して、簡易な資金繰り表を作成しました。
すると「あぁ、目に見えると整理できますね。そしたら△△円だけ都合をつけたらいいんですね。それなら何とかできそうです」とほっとした表情に変わられました。

社長は「今月ずっと仕事をしてる時も、月末の支払いのことが頭から離れずしんどかったです。整理してもらって助かりました」とおっしゃいました。
私は全く大したことをした訳でもなく、ただ数字を書き出して簡単に表にまとめただけです。

「数字が苦手な人にとっては、この簡単な表を作るだけでも相当ハードルが高い作業なんだな」と思うと同時に「簡単な表でも、見える化できれば不安を軽減できるんだな」と認識したエピソードです。

まとめ

資金繰り表に絶対決まったルールはありません。
ですが、一般的に使われる3区分「営業収支」「投資収支」「財務収支」に分けるだけで十分です。
資金繰り表の作成は銀行の通帳からも作成できますので、誰にでもできる作業です。

過去の資金繰り表を作成して傾向をつかみ、未来の資金繰り表を作成してみましょう。
お金の見える化ができるので、頭の整理になりますし、前もって対策を打ちやすくなるので、ぜひチャレンジしてみてください。

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