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【補助金】小規模事業者持続化補助金の計画書を作成する② 加点編(補助事業計画の有効性、積算の透明・適切性)

令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金の公募が開始されました。

https://r1.jizokukahojokin.info/

http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/

応募先は、商工会議所と商工会に分かれます。ご自身の事業所の管轄が商工会議所か商工会で異なりますのでご注意ください。

今年から通年での募集となり、現時点(2020.3.16)においては第4回までが発表されています。

第1回受付締切り:2020年3月31日(火)
第2回受付締切り:2020年6月5日(金)
第3回受付締切り:2020年10月2日(金)
第4回受付締切り:2021年2月5日(金)

補助金の額は最大50万円と、他の補助金からしたら小型ですが、個人事業主や小零細企業の方にとってはそれなりの額になると思います。

しかし、普段書類を作成したり計画書を作成していない人からしたら、申請書類を作成するだけでもかなりの労力を必要とします。公募要領は68ページほどあり読むだけでも大変で、日ごろから忙しい経営者の方からしたらくじけてしまいそうですね。

今回は加点編の続きになります。

ご注意
当事務所の記事は予測や個人的見解を含みます。
当事務所の記事に基づいて全てを判断せず、募集要項は必ずご自身でお読みになり確認してください。
また、採択されなかった場合でも当事務所では一切の責任を負うことはできません。
当事務所の記事に記載されている情報や見解は、予告なしに変更することがあります。

記事は、日本商工会議所の公募要領に沿います。

小規模事業者持続化補助金の計画書を作成する 加点編(補助事業計画の有効性、積算の透明・適切性)

⑦計画の有効性を示す

募集要領P.53 Ⅱ加点審査

③補助事業計画の有効性

◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
◇保持事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
◇補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みがみられるか

とあります。

有効性を示すのに加点審査項目を読むと、「具体的」「実現可能性」「経営計画の今後の方針・目標達成に必要・有効」「小規模事業者ならではの創意工夫」「ITを有効に活用」と分解できます。

一つづつ見ていくことにしましょう。

 

具体的か

まず具体的かと問われています。改めて具体的とは何かを辞書で調べてみると

実際に形や内容を備え、はっきり知ることができるさま。一般的なものや観念的なものではなく、個々の事実によっているさま。(三省堂 大辞林第三版より)

単に思考されるだけでなく、直接に知覚され経験されうる形態や内容を持っているさま。(精選版日本国語大辞典より)

となっています。

相手にはっきり伝えることができるようにすることですね。文章だけで全く知らない相手に伝えるのは困難でしょう。

写真や図、表やグラフを用いればより相手に伝わりやすくなります。

また、難しい言葉や業界用語を多用するのではなく、平易な言葉を用いて文章を書くことも必要でしょう。経営者の頭にあることを言語化することと言えます。

 

実現可能性が高いものか

実現可能性が高いかの問いは、「本当にできるのか?」という事です。当該小規模事業者にとって、とわざわざともとれるように書いています。

これは、「あなたの事業所でも本当にできる体制があるのですか?」と解釈できます。基礎審査②補助事業を遂行するために必要な能力を有すること、の部分を重なります。

できる根拠を示すことが求められています。

 

経営計画の今後の方針・目標達成に必要・有効か

加点審査②経営方針・目標と今後のプランの適正性で設定した方針や目標が、地道な販路開拓につながるのかという事です。

この補助事業は地道な販路開拓が前提としてあるので、計画の有効性の判断も地道な販路開拓になるのかどうかが問われます。

「○○をして✕✕になり、販路開拓になります」といったストーリーが必要でしょう。

 

小規模事業者ならではの創意工夫

小規模事業者としてのユニークなアイデアや、中規模や大規模な会社ができないことが計画に盛り込まれているかが問われています。

逆を言えば、”市場ニーズがあるけれど中規模や大規模な会社ができないことをする”が小規模事業者ならではとも言えます。

例えば、細かな対応であったり、柔軟な対応は大きな会社ほど簡単にはできないようなことをして、顧客に選んでもらう。中大企業に比べ小規模事業者は、小回りが利く、少ない顧客でも収支が合いやすい、のが利点です。

「他社がやっていないことをして販路開拓をする」ストーリーが書ければ及第点と思います。

 

ITを有効に活用しているか

小規模事業者は人数が少ないため、できることも限られがちです。一人で色々なことをしなければならないので、生産性を高めるにはITを活用して欲しいとのメッセージです。

経済産業省は生産性を高めるツールとしてIT化を推奨しています。(IT導入補助金も同じ事業の枠組みです)この部分は恐らく、IT化を進めてもらうために設けられていると思います。

上記理由により、単にホームページを作るとかでなく、ITツールを入れることで生産性が高まる、と示す方が好ましいのではないかと考えます。

 

⑧計画の計算根拠があるか

募集要領P.53 Ⅱ加点審査

④積算の透明・適切性

◇事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか

とあります。

 

簡単に言えば、計画が絵に描いた餅で終わらないように、きちんと計算根拠があるのかどうか?という事です。

「透明」とは、ざっくりした数値でなく、売上だと”単価×数量”のように分解して考えることです。「適切性」とは、正しい計算になっているかを問われています。

単に計算の数値が正しいだけでなく、設定した単価や数量が現実的なモノかどうかという事も見られます。現実的かどうかは、客観的な資料で根拠づけしてあげます。

「計算根拠が苦しい、もしくは疑わしい、と採点者に思われないように積み上げていく必要がありますよ」ということですね。

 

まとめ

これまで3回にわたって、小規模事業者持続化補助金の計画書を作成するさいに注意したい点を、募集要領に沿って考えてきました。

募集要領の審査の観点はたったの2枚です。しかも項目だけを見れば1枚にもなりません。一見すると少ない情報ですが、漏れの無いように、一つ一つ突っ込んで考えることで計画書の出来は大きく変わります。

採択されるかどうかは運の要素もあります。しかし、頭の中で考えていたことを知らない人に伝えるために書面化する作業は必ず役に立ちます。補助金をもらうために申請することは本末転倒であり、当事務所でもお勧めしません。

仮に採択されず、補助金が無くても取組もうと思っている計画は、それだけでストーリーが自然になるので採択される可能性も高まると考えます。